第6章 突然の別れ(♡)
そんな私の頭を慰めるように優しく撫でてくれる圧紘さん。
「…ちゃんも身体、大丈夫?
身代わりだなんて…痛かったろうに…っ。
ごめんな?……でも、ありがとう。」
『…私なんて全然…っ。
圧紘さんに比べたら…こんな痛み…
痛くも何とも…ッ。』
茶色の瞳を見上げながらふるふると何度も首を振りながら言えば、また圧紘さんに抱きつく。
『…私が守りたいものは…圧紘さんと、
圧紘さんの大切なものを守っていきたい…っ。
そのためなら、自分を犠牲にしてでも…
ずっとずっと守っていきたぃ…。』
「あー…もう……」
俺の胸元に埋まるちゃんを右腕だけで抱けるだけの力を込めてきつくきつく抱きしめる。
「…ほんと、この子はまったく…っ、
もっと自分を大事にしなさいよ…。
俺がどれだけちゃんの事
大事にしてきたかわかってんの?」
『……はぃ……っ。』
「…無理すんなって……ちゃんに
痛い思いさせたくねェのよ。」
″身代わり″になったちゃんの身体は見た目には変化はない。けれど、あの時自分が感じていた激痛を抱えていたのだと思うと居た堪れなくなる。
『無理なんてしてないです…。
私は、私が大切にしたい人を
大切にするだけです。
それが圧紘さんの役に立つなら…、
敵連合の役に立つなら……
喜んでこの個性を使います。』
俺を見上げる綺麗な大きな瞳は、何の迷いもなく真っ直ぐで…覚悟を決めたような揺るぎないちゃんの想いを伝えるかのように俺を真っ直ぐ見つめていた。
そんなちゃんが愛おしくなり、俺はまたちゃんをきつく抱きしめた。
「…………ぁーー、コホン。
お取り込み中悪りぃが、ちょっといいかい?」
病室の入り口からした声に顔を上げると何だかニヤニヤしている義爛おじさまがいた。
『……義爛おじさま!!』
俺の胸元からパッと離れると義爛の元へ駆け寄るちゃん。
嬉しそうに義爛に駆け寄るちゃんにちょっと寂しく思うし、ちょっと妬いちまう…。