第6章 突然の別れ(♡)
「…立てるか?」
「………個性が……出なかった……っ。
…ぅ″っ…ぐ……くそ痛ェェーー……ッ……」
『…圧紘さんっ…気休めだけかもしれませんが、
私の個性使いますね…っ。』
「…ッ……ダメだ、ちゃん。
こんだけ痛けりゃ…ちゃんへの
負担の反動が…、でかすぎる…ッ…。」
『…いやです!!
…こんなに圧紘さん辛そうなのに…っ、
私の治癒個性はその為にあるのだから
少しでも圧紘さんの痛みを…
私に分けてください…ッ。』
「………ほんと、ちゃんには敵わねェや。
頼むから…無理だけは、するなよ…ッ?」
仮面の下で短い眉を下げて困ったように小さく笑う圧紘さんの顔が思い浮かぶと、今にも零れ落ちそうな涙をぐっと堪えて小さく微笑み返し。
両手で目をギュッと拭うと、そっと圧紘さんの左腕の付け根に両手をかざして一度深く深呼吸をしてから気合いを入れ直すとふんわりと優しい光が抉れた傷口を包み込む。
それと同時にドクンッ…との身体にも大きな衝撃が走る。
それ程、コンプレスの左腕の欠損の痛みの大きさが強かった。
『…ハァッ…、…っ……ンッ……』
「…、ちゃん…、もう…やめろ…ッ。
辛れェだろ…俺は…ッ…大丈夫だから、な?」
ちゃんの治癒個性は欠損は治す事はできない。
でもちゃん自身が身代わりになるかわりに傷の痛みを柔らげる事や傷の回復を促す事ができるらしい。
その代償は大きければ大きいほど、ちゃんへの身体の負担は大きくなる。
大の大人で男の俺でもこの痛みはさすがに参っちまうくらいなのに、それと同等の痛みがこんな俺よりも小さな身体のか弱い女の子のちゃんが受けると思うとこんなクソ痛ェ傷みよりもちゃんの方がよっぽど心配になっちまって…。
痛みを我慢して大丈夫だと伝えても治癒をやめないちゃん。
可愛い顔はきっと俺と同じくらいの痛みを感じて眉を顰めて歪み、真っ白な柔らかい頬には湧き出た汗の粒が流れ落ち…。
時折、痛みに耐えるような苦しそうなその声に…。
俺の胸が締めつけられる…。
君がそんな辛そうな顔をするくらいなら、こんなクソみてェな痛み俺一人だけで十分なのに…っ。