第2章 はじまりと襲撃(♡)
しばらく敵連合のメンバーと過ごしてわかった事がある。
それはヒーローもヴィランも同じ人間だという事。
ただそれが、ヒーロー側とヴィラン側の考えや思想が違って対立しているだけで、理想とする社会があってそれを目指しているという目標は皆同じだとは思っていた。
そして実際ここに来て、皆と接しみてわかった事もあった。
ヴィランだからと言ってただ人を殺めるだけの集団ではないし、皆それぞれ夢や目標、目的があって…
今は敵連合と言われているけど、そうならざるを得ない環境だった人達なのではないかと。
それにいつもに優しく接してくれ、楽しませてくれ、時には危険からも守ってくれるこの敵連合の皆は、にとってのヒーローだと思っていた。
だからこれから雄英高等学校の林間合宿襲撃に向かう事を世間一般では犯罪行為、いけない事かもしれないが……
にとってはこの敵連合では必要な事なのだと思い、罪悪感など感じていなかった。
今回の襲撃場所にはヒーロー科の林間合宿という事、子どもとはいえヒーローの卵達がたくさんいる訳で…
いくら子どもとは言え、油断はできないと弔くんも先日の作戦会議で言ってた事を思い出し、ただただは皆の、コンプレスの無事を祈る事しかできなかった…。
先刻の耳元で囁かれたコンプレスの声、息遣いに少し頬を染めるとさっき別れたばかりなのにもうコンプレスに逢いたいと想ってしまうこの淡い気持ちに胸の奥が疼いたのだった。
開闢行動隊が出払ってからはBARの中はシーン…と静まり返っていた。
ここに残ったのは弔くんと黒霧さんと私だけ。
黒霧さんはいつものようにBARカウンターの中でグラスを磨き、弔くんも黒霧さんのカウンター前の席について、手を組んでじっと何かを考え込んでいるようだった。
私も弔くんの隣の席についてはいるが、何だかソワソワして落ち着かない。
「…、落ち着きがねェな。」
『ぅん…此処に来て、こんな大きな案件
初めてだから…ちょっと緊張しちゃって。』
「大丈夫だ。俺たちの計画は完璧だ。
じきにアイツらも戻ってくる。」
私と違って、冷静に落ち着いた声で言えば人差し指を浮かせて安心させるように頭を撫でてくれる弔くん。