第2章 はじまりと襲撃(♡)
弔くんが頭を撫でてくれると、コンプレスさんとはまた違った安心感や鼻を擽ぐる弔くんの匂いにトクン…っと胸が高鳴る。
「さん、気分転換に何かお飲み物を
お入れしましょうか?」
気を遣ってくれた黒霧の言葉に小さく首を振り断るとお気遣いありがとうございます…とお礼を述べた。
カチッ…カチッ……と室内に響く秒針の音がBARに響く。
どれくらい経ったのか、弔くんと黒霧さんのしている無線から撤退の知らせが入り、黒霧さんがワープゲートを開く。
続々と開闢行動隊のメンバーがBARに帰還し、ミッションは無事成功したようだった。
荼毘さんがターゲットの雄英生の首根っこを掴んで帰還して来た後からコンプレスさんもワープゲートから戻ってきた。
でも帰ってきたコンプレスさんの仮面は半分割れていて、目出し帽も半分破れていて、コートも服もボロボロだった。
『コンプレスさんッ…!!』
そんなボロボロの彼の姿にすぐに駆け寄ると、破れた目出し帽から少し覗く彼の素顔に付いている擦り傷をそっと撫でるように触れる。
「あはは、ちょっとヘマしただけだよ。
こうして目的も果たせて無事に帰って来れたよ」
『…おかえりなさい、コンプレスさん…っ
無事で…本当に良かったです…。』
コンプレス自身も顔の擦り傷以外に目立った怪我もなく、元気そうな姿にホッと安心し小さく微笑む。
『あの…っ、顔の傷の手当てと
治癒させてくださいっ…』
コンプレスをソファーにそっと座らせるとパタパタとBARから出ると別室へと行き、水を汲んだ桶に傷を拭う為のタオルや救急箱を持って戻ってきた。
『これ、外しますね?』
コンプレスの素顔を覆っているボロボロになった目出し帽をそっと脱がすと初めて見る彼の素顔にまん丸の大きな瞳を見開くと、が思い描いていた通りの整った彼の素顔にまた胸の奥がドクンッ…と大きく音を鳴らして時が止まったかのように彼の色素の薄い茶色の瞳に釘付けになっていた。