第2章 はじまりと襲撃(♡)
そんな出来事から数日が経ち。
何やら今日はこのBARに敵連合全員が集結していて弔くんを中心に作戦会議を始め、難しい話をずっとしている。
私はと言うと、皆の邪魔にならないようにBARカウンターの一番奥の一番端の席に座り大人しくしている。
その側でコンプレスさんが壁に背を預けながら腕を組み、弔くんの話を真剣に聞いている。
どうやら話を掻い摘んでみると、プロヒーローを育成している雄英高等学校の林間合宿を襲撃し、そこの生徒を拉致するらしい。
そしてヒーロー社会を脅かすのが目的…らしい。
弔くんから私はこのBARで待機組らしく、もしこの襲撃で負傷した者が出ればそちらの治療に当たる役割らしい。
そしてここにいるほとんどの連合のメンバーは“ 開闢行動隊 ”として先陣をきって襲撃に赴くらしく…
もちろんその中にコンプレスさんも加わっている訳で。
不安になり、眉をひそめて側にいるコンプレスさんをチラッ…と見上げながら見つめていると私の視線に気付いたコンプレスさん。
「…そんな不安な顔しないでよ?
大丈夫、そこまで危険な任務じゃないし
きっと皆無事に帰って来るさ」
ね、だからそんな顔しないで?
との頬にそっと手を添えると親指の腹で優しく撫でてくれるコンプレスを見つめながらコクンッ…と頷く事しかできなかった。
そして決行の当日。
黒霧が出したワープゲートを次々と潜っていく開闢行動隊のメンバー。
最後にコンプレスが黒霧のワープゲートを潜ろうとした時、無意識にコンプレスのロングコートをキュッ…と握ってしまった。
「ん?…どうしたんだ、ちゃん?」
クィッと後ろに少し引っ張られたのを感じると振り向き様にの方を見つめて首を傾げるコンプレス。
無意識にコンプレスのロングコートを掴んでいたとわかると慌ててパッ…と手を離して。
『ぁ…っぇと、ごめんなさい。
ぁ…あの、お気を付けて…っ』
不安な気持ちを精一杯かき消して言うと、不意にグィッ…と腕を引っ張られて引き寄せられるとふんわりコンプレスの胸元に抱きしめられ…
「…俺の無事、祈って待ってて?
必ず帰って来るからっ…」
仮面を外した彼にそっと耳元で囁かれるとドクンッ…と胸の奥で音がなり、耳まで真っ赤な顔でコクンっと小さく頷くのだった。