第5章 敵連合、みんなの夢(♡)
「…ハハ、顔真っ赤。」
普段あまり笑わない荼毘さんの顔を間近で見つめるとそっと頬に手を触れ、目元の継ぎはぎの金具をそっとなぞる。
下唇から首元、鎖骨辺り、今は服で見えないけど他の箇所の皮膚も爛れて継ぎはぎになっているその痛々しい身体に眉を下げてしまう。
『……痛い、…ですか…?』
目元の継ぎはぎの金具を指先で触れた後、そっと鎖骨辺りの爛れて色の変わったところへ優しく指先で触れてみる。
「…いや、全然。
その辺りはもう感覚も鈍っちまってる。」
自分の鎖骨辺りの変色した皮膚に指先でそっと触れながら、眉を下げ大きな瞳を揺らしながらどこか悲しそうに見上げる彼女の頭をそっと撫でてやる。
『…きっと、痛かったですよね…。
どうして荼毘さんがこうなってしまったのか
私は知りません…。
でも…こうして今、生きていてくださっていて…
ありがとうございます…っ。』
切なげに瞳を揺らしながら真っ直ぐ見つめて言う彼女の言葉に一瞬、蒼色を見開くと愛おしさが溢れ出し、たまらずきつく抱きしめる。
『……だび、…さん……?』
「…お前は優しいなァ…っ。」
耳を擽るように甘く囁く…でもどこか柔らかさを感じる荼毘さんの声にきつく抱きしめられてるため、どんな表情をしているかわからないが綺麗な蒼色の瞳を細めている荼毘さんの顔が浮かぶとたまらず抱きしめ返す。
ここには色んな事情、過去を背負って…心も身体も傷付いた人たちが集まっている。
詳しい事はわからないけれど…きっといっぱい悩んで、いっぱい葛藤してきて導き出した生きる道が此処だっただけ。
みんな自分の夢に向かって、理想の世界を創るために…社会に反発してでも手に入れるために一生懸命生きている。
『…私はみんなの…敵連合の味方です…っ。』
私の言葉に抱きしめる継ぎはぎの手にグッ…と力が入るとまたきつくきつく抱きしめられたのだった。