第2章 はじまりと襲撃(♡)
『荼毘さん、ありがとうございます』
未だ後ろから抱き寄せる荼毘にふわりと微笑みお礼を言うと“ あぁ… っ。”とひと言呟くとそっと離れる彼。
初めこそその見た目と一匹狼のような雰囲気の彼に少し近寄り難いと思っていたが、案外面倒見が良いのか心配性なのかこのBARのアジトに顔を覗かせるとの事をよく気に掛けてくれ、今見たいにトガが暴走し出すといつも助けてくれるのは彼だった。
「…にしても、ほんと整ってるよなァ
ちゃんって。」
私の左隣で頬杖を付いて覗き込んでくるコンプレスさんは、今日は珍しくいつも素顔を隠している仮面は付けておらず、黒のシルクハットに目出し帽という格好だった。
いつも着ている背の高い彼に似合っている山吹色のコートも着ておらず、橙色のシャツに黒のスラックス、シャツの上から黒のベストを着ており、首には綺麗な緑の石が付いたループタイをしていてとってもオシャレさんだ。
彼の素顔はまだ一度も見た事がないだが、目出し帽から覗く少しつり上がった二重まぶたの茶色の瞳に、目出し帽に沿ってスッと流れるように筋の通った鼻に、いつもを楽しませてくれるお喋り上手な口とどこを取っても整ったパーツの彼の素顔はきっと素敵でカッコいいのだろうなと思わせる。
そんな整った顔の彼が至近距離で近づき、グッと距離を縮めその色素の薄そうな綺麗な茶色の瞳で真っ直ぐ見つめられると恥ずかしさや照れからほんのり桃色に頬を染める。
『そう…ですか?///
あまり褒められ慣れてないので
何だか恥ずかしいです…っ///』
未だにじっと見つめてくるコンプレスに耳までほんのり赤く染めると恥ずかしそうに小さく呟き。
「ははっ、照れちゃって可ァ愛いい。
そんな可愛い反応されちゃ、
おじさんドキドキしちゃうじゃん」
そう言うとの栗色のふわふわの髪をそっと撫でるように一房掬うと優しく触れて言うコンプレス。
「やだぁ〜もぅっ、何この甘い雰囲気ッ!!
私もドキドキしちゃうわっ、もうッ」
ヒミコちゃんの隣に座っていたマグネさんが両手を頬に添えてクネクネしている。
こうして皆でBARに集まっていると、本当にアノ凶悪な敵連合なのかと疑いたくなるほどわいわいと穏やかな時間を過ごしている。