第4章 初任務(♡)
「…もう大丈夫だから…。
怖い思いさせちまってゴメンな?」
両頬が圧紘さんの大きな手に包まれると、切なげに揺れる茶色の瞳と目が合う。
零れ落ちる私の涙をそっと…優しく親指で拭ってくれると瞼にチュ…と口付けを落としてくれる。
「…。コイツどーする?焼くか?」
『だ、だめっ…荼毘さん…。
こんな人のために荼毘さんの大切な身体…
焼かないで…っ。』
右手から蒼炎を出しながら只ならぬ殺気を放つ荼毘さんにフルフルと必死に首を振ると、後ろから荼毘さんのタキシードの裾をキュ、と掴むとトン…と荼毘さんの広い背中に額をくっつけて縋るように小さく呟く。
そんな私の言葉にそっと蒼炎を右手から消すと同時に、命乞いをするかのようにバタバタと慌ててその場を走り去っていく男の人。
「…なさけねェーヤツだなァ。
そんな覚悟でうちのちゃんに
手ェ出すなっつの。」
「そんなコトよりもの格好何とかしろ…。」
「たしかゲストルームあったよなァ?
ひとまずそこ行くか…っ。」
「…沙夜、こっちに来い…っ。」
荼毘さんの言葉に圧紘さんが顎に長い指先を添えて考え込むように言えば、弔くんに手を引かれそのまま抱きしめるように背中のファスナーを上げてくれ、乱れたドレスを手早く整えてくれる。
肩にタキシードのジャケットを掛けたまま私の肩を抱き寄せて歩き出す弔くん。
その後を圧紘さんと荼毘さんが続くとゲスト用に用意されている休憩室へ入るとガチャ…と鍵を閉められる。