第4章 初任務(♡)
「…こちらにもっと貴方がお好きなようなものが
たくさんありましたよ…さぁ、こちらへ…」
『あっ…あのっ、』
戸惑う私に構わずぐいぐいと腕を引っ張り進んでいく男の人に力では叶う訳がなく、連れられるまま引きづられていく。
しばらく連れられて歩いて来た場所は美味しそうなご馳走がある訳でもなく、キラキラと宝石のようなスイーツがある訳でもなく、人ひとりっ子いない人気のない静かな場所だった。
『あっ…あの、私勝手に出て来ちゃ、
怒られちゃいます…。』
未だ手首を掴んだままの男の人を不安げな瞳で見上げながら戸惑ったように言い。
「あぁ…すまなかったね。
強引に連れ出してしまい…。
本当に貴方は美しい…この愛らしい瞳といい。
白い綺麗な肌に…柔らかそうな身体。
全てが完璧だ…っ。」
やっと手を離したかと思えば、壁際へ追いやられると顔の横に片腕を付き、腕と壁の間に私を挟むともう片手でクイ、と顎を持ち上げられれば欲にまみれた瞳で私を見下ろす男の人。
『こっ…困ります…はな、してくださいっ…。』
見ず知らずの男の人に迫られ、その距離の近さ、その言葉にゾワ…と底知れぬ恐怖が背筋に走ると眉を顰めながら震える声で言い。
「こんな綺麗な子とまたとないチャンス、
逃してたまるか…」
震える私に構う事なく、小さくクスッ…と笑いニタニタと瞳を細めて舐め回すように見つめられる。
『やっ…やだぁっ…、誰かっ……』
男の人の雰囲気に只事じゃないとわかると逃げ出そうとするも、男の人と壁に閉じ込められている為、身動きが取れず。
「あぁ…怖がっている顔も可愛いなんて…。
ほんと全てが唆るなぁ…っ。」
そう言えば、腰のラインをなぞるように手を這わせると頬に手を添えられると顔が近付いてくる。
『…んッ、やっ、…っ!!』
唇が触れ合う寸のところで力いっぱい男の人の顎を両手で押さえながら顔を背ける。