第4章 初任務(♡)
『弔くんから一人になるなって
言われたばかりなのに…。
さっそく一人になっちゃった…っ。』
VIPルームから先程の会場に戻るまでの豪華で煌びやかな廊下でひとりごちる。
目尻に溜まった涙をメイクが崩れないように指先でそっと拭う…。
さっき圧紘さんに腕を絡めていた女の人の姿を思い出すとまたズキンッ…と胸の奥が痛み、気持ちが重く沈むと深い溜息を付き。
拭ったばかりの涙がまた瞳いっぱいを濡らす…。
でも、今日のこの会食は今後の敵連合の為だと思うと自分一人の我儘で台無しにしてはいけないと思う反面、気持ちはだんだんと暗くなっていく。
『(…圧紘さん…取られちゃったらどうしよ…)』
と柄にもなく不安になり落ち込むも、ふるふると首を振り、落ち込んでいても仕方がない!と先程の会場の扉を力いっぱい引っ張る。
ヒミコちゃんとトゥワイスさんを探そうにもこの広い会場の中にたくさんの人がごった返している為、すぐには見つからず。
他のメンバーも何処にいるのか検討もつかず、ひとまずノンアルコールのグラスをウェイターから受け取りまたチビチビと飲む。
落ち込んでいても仕方がない、と思い立つとご馳走が並ぶビュッフェへと足を運び。
キラキラと宝石が並べられたような綺麗なスイーツに先程までの暗い顔から一転、満面な笑みを浮かべると一つずつお皿に乗せていく。
それを一口ひとくち味わうように食べては、口の中に広がる甘くて美味しいスイーツの味に私の表情も和らぐ。
「…とても美味しそうに召し上がられますね」
背後から掛けられた声に振り返ると一番最初に名刺を渡してきた若い男の人が一人立っていた。
「…先程の男性陣の方たちは?」
柔らかな笑みを浮かべる男の人にすこし身構える。
先程の男性陣の方たち…圧紘さんたちの事かな?
『ぁ…えっと、今はお仕事のお話で…、』
言葉を続けようとすれば不意に手首を掴まる。