第4章 初任務(♡)
「お兄さん達イケメンね♡
一緒にお酒どうです?」
おじ様方の側に付いていた若い女の人達がいつの間にか圧紘さんと荼毘さんの座っているソファーの両端に挟むように座っていた。
今日の圧紘さんはいつもの仮面に目出し帽もしていなければ、整った素顔を晒しており、荼毘さんは荼毘さんで爛れた火傷痕に継ぎはぎだらけでも整っているのがわかるほど美形な上に、二人ともタキシード姿という完璧なスタイルなので、周りがほっておく訳がなく。
そんな二人に声を掛けた女の人達も綺麗に着飾り、スタイルも良くほのかに香る香水の匂いに色気を醸し出しており…。
圧紘さんの腕にスルッ…、と腕を絡める女の人に、荼毘さんのタキシードの裾を軽く摘む女の人の姿にズキンッ…と胸の奥を痛める。
それを隠すように両手をギュ…、と胸の前で握り締める。
今日は連合にとって重要な日。
弔くんの先生がオールマイトに敗れたその日から私たちは後ろ盾がなくなり、非常に弱い…脆い状態になった。
だからこそ、今日ここで人脈を広げてヴィラン連合の後ろ盾になってくれるようなコミュニティを探す事が目的なのだ。
ここで私情を挟んじゃダメ…。
これもお仕事なんだから…っ。
『…せっかくの機会ですし、連合のために
交流を深めてください。』
「あら…お話のわかるお嬢さんで助かるわぁ〜」
紳士にやんわり断ろうとしている圧紘さんと興味なさそうにしている荼毘さんに微笑みながら言えば、圧紘さんの腕に絡まる女の人が目を細め意地悪そうな笑みを浮かべて私を見る。
『…私少し、お手洗いの方へ行ってきます。』
「あっ、ちょっと…ちゃん!!」
ソファーからスク…と立ち上がる私を見て圧紘さんが慌てて腕に絡まる女の人の腕を解いて私に手を伸ばすが、掴まれる前に歩き出す。
…だめ…っ。今ここにいたら泣いちゃいそう…っ。
こんな顔、圧紘さんにも荼毘さんにも弔くんにも見せられない…。
早くここから出なくっちゃ…っ。
圧紘さんが何か言っているのを遠くで聞きながら私は足早にお部屋を抜け出した。