第4章 初任務(♡)
「…ヴィラン連合の死柄木くんかね?」
ふと、背後からの声に振り向く私たち。
そこには何人かのおじ様方がいて、弔くんに声を掛けていた。
高そうなスーツに高級そうなバッグ。
身に付けているアクセサリーもそうそう手が出る品物ではなさそうな感じのものばかり。
「…あ゛?そうだけど、何?」
水色の少し伸びたハーフアップに上げられた髪を掻きながら弔くんが面倒くさそう言う。
「今、ちまたで話題のヴィラン連合のリーダーを
している君と少しばかり語りたくてね。」
そう言ったおじ様が私に視線をチラリ、と寄越す。
何だか品定めをされてるみたいな視線に居心地を悪く感じるが、ニコ、とふんわり微笑み返す。
そんなおじ様の視線に気付いた弔くんが、スッ…と私の腰に手を回して抱き寄せる。
「…で、俺と何が話したいンだ?おっさん。」
「まぁ、こんな所で立ち話もなんだ。
あちらでゆっくり話を聞かせてくれ…。
そちらの美しいお嬢さんもご一緒に…。
あと、そちらのイケメンのお兄さん方も
どうぞご一緒に…美味い酒でもどうかね?」
挑発的な弔くんの態度に動じずに、物腰柔らかく話すおじ様。
そして再び私に視線を向ける。
「…、一緒に来い。」
『…はい…っ。』
弔くんに腰を抱かれながら一緒に歩いて着いていく途中、
“ 絶対に俺から離れるな…っ。 ”
と耳元に囁くように落とされる弔くんの声に小さくコクコク、と頷く。
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弔くんと私、その後ろに圧紘さんと荼毘さんが歩いて連れられたのはどこかのVIPルームのような豪華なお部屋。
ふかふかの絨毯に座り心地の良さそうなソファーにガラス張りのテーブル。
非現実的な空間に思わず、キョロキョロと周りを見渡してしまう。
「…すっげェー部屋だな。
この部屋の家具だけでいくらなんだ…。」
「俺らとは住む世界が別なんだろ。」
圧紘さんと荼毘さんの会話に強く共感しながら、同じ気持ちだった事に少しホッ…と安心する。
「コレ盗んで売ったらいくらくらいになるかな?」
「寿司くらいは食えンだろ…俺は魚嫌いだが。」
そんな圧紘さんと荼毘さんの会話にクス、と小さく笑う。