第3章 2話:噂の先輩
「何でお前こっちに居んの?バレー部のマネにでもなったのかよ」
『なってない。用事済ませに来ただけ』
「なら一緒に帰んね?」
うわ。今日は早く帰りたかったのによりによってクソ面倒臭いやつに誘われるとか厄日なの。
『一緒に帰る人いるからパス』
「嘘つくなよ」
『嘘じゃない』
「なら誰と帰んだよ。俺の知ってるやつ?」
『誰とでもいいでしょ。どいて』
無視して帰ろうと歩き始めると腕を捕まれ、引き寄せられる
『何?手離してよ。』
「誰と帰るか教えたら離す」
少し言い合いをし始めるとバレー部員達が気にし始めたのか
こちらをチラチラと見てきている
その中には私が1年から多少仲のいい、数少ない女友達の"清水 潔子"が居た
私が困ってるのを感じ取ったのか、こちらに向かってくる
清水「もう少しで部活終わるから待ってて」
『って事だから…』
「あー、そう…何だよ、清水かよ」
話が聞こえていたのだろう。
清水が助けの一言を言ってくれたおかげで腕を掴んでいた手が離れていく。"またな"と彼は言い終えると私たちから離れて帰っていく
『助かった、清水ありがとう。今度何でもいいからお礼でもさせて』
清水「何でもいいの?」
『え、うん…私に出来ることなら何でも』
清水「バレー部のマネージャー足りないから仮でも入ってくれない?」
『……は?』
私の聞き間違え?清水がそんな事言うはずがない。絶対に
『今、何と…』
清水「マネージャー足りないから仮でも入ってくれない?」
『私3年ですし、今更入っても…』
清水「さっき何でもって言ったでしょ?」
『私に出来る事ならね!マネージャー何て出来ないよ』
清水「芹沢、お願い」
私の手を握りながらお願いしてくる清水があまりにも珍しく、可愛い。可愛すぎる。
私は咄嗟に『清水の為なら喜んでマネージャーになります!!!』と手を握り返し、叫んでいた。