第4章 3話:プレイボーイ
及川「そんなに急ぐと転んじゃうよ〜!」
後ろから心配する声が聞こえたけど、そんなのを気にしていられない。
携帯忘れるとか何やってんだろ…
あー、馬鹿だ。最後、ヤる事しか考えてなかったからバチでも当たったんだ。清水、怒ってたよな…クールな清水がもっとクールになるよ。
扉に手をかけようと腕を伸ばすと、急ぎすぎたせいか段差に気付かずに躓いてしまう。
『…ぁ』
心配してくれた及川くんごめん。きちんと言葉に耳貸せばよかった。
転ぶわコレ…と思った瞬間、強い力で後ろに引き寄せられた。
微かに汗の匂いが鼻をかすめる。
及川「…だから言ったのに」
うわぁ、この匂いやばい。ムラッとする
意外とガッチリしてる、引っ張る力も強い、胸板もかたい。
やっぱり運動部っていいなァ。今すぐにでもこのまま、この人にめちゃくちゃに抱かれたい。
よからぬ事を考えていると頭の上から声が聞こえた
及川「聞いてる?」
『…ぁ。心配してくれたのにごめんなさい。助けてくれてありがとう』
及川「いえいえ〜、ケガがなくてよかったよ!もう離しても平気?」
私が頷くと身体が離れていく。
あれ以上くっ付いてたら間違えなく誘ってた…危ない。
気を取り直し扉を開くと、上にいたギャラリーは消えていて青葉城西のバレー部員しか残って居なかった。
「おっせーぞ!…って」
及川「ごめんねぇ〜。岩ちゃーん」
岩ちゃんと呼ばれた彼は不思議そうに私のことを見ているが、そんな事を気にしている暇はない。座っていた方に急いで向かうと探して求めていた携帯がポツンと寂しそうに置かれていた
『…よかった』
一安心し携帯を手に取ろうとした時、私の携帯から着信がある。
名前を見ると今日誘うと思っていた男からだった。
今でたら失礼だよね…今すぐでて誘いたいけど。我慢だ我慢。
着信を知らないフリをして、及川に一応お礼をまた言いに彼に近寄る
『ありがとうございました。一緒に着いてきてくれて』
及川「戻ろうとしてたし、お礼言われる事じゃないから大丈夫!」
『そうですよね…それじゃ…』
失礼しますと言い終えようとした瞬間また先程まで鳴っていた携帯から音が聞こえてきた。
連続でかけてこないでよ、空気読んで!!