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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第2章 紀州仇討ち編






雅吉「ふおぉ、おふぁとひゃんららぃはぃ!」



居間へ行くと、雅吉が呑気な顔をしてさっき毟った草を口に入れてもしゃもしゃやっていた



にの江「ばっ、馬鹿だねアンタは!!本当に食うヤツがあるかいっ!!(汗)」


雅吉「んん~?……………ごっくん。」


にの江「……………ぃやだょこの人は………飲み込んじまったょ」


雅吉「はぁあ~……まじぃッ!!(笑)」



雅吉はもしゃもしゃやっていた草を飲み込むと、べえっと舌を出してヘラッと笑った



にの江「……当たり前じゃないかぃ、腹ぁ下してもあたしは知らないよ(苦笑)」


雅吉「んあ~?そん時ゃあ翔の字に薬を用立てしてもらわぁ(笑)」


お智「……ひくっ…………翔吾、さん////」



翔吾さんの名前が出ると、お智ちゃんがしゃくりあげながら顔を上げた



にの江「翔吾さんがどうかしたかぃ?」


お智「………にの江姉さん、どうしたら良いの………私、私……////」


にの江「どうしたら良いって………だから、どうしたんだぃ?」



あたしはお智ちゃんを座らせて、その肩を優しく抱きながら、お智ちゃんの顔を覗き込んだ



お智「………………浮気、してる、の、かも…………しれないの/////」


にの江「えっ…?」



思い掛けないお智ちゃんの言葉に、思わず目を見張る




雅吉がそれを聞いて、お茶で口を濯ぎながら言った



雅吉「翔の字に限って、そりゃあねぇだろうょ」


にの江「でもっ!だってっ!……うっ……ぉぇっ……/////」



雅吉にそんなコトは無いと、話しを一蹴されたお智ちゃんが

反論しようとして急にえづいた



にの江「大丈夫かぃお智ちゃん……悪阻が随分と酷いみたぃだねぇ」


お智「……ぅっ、……うぇっ……だから、翔吾さん………こんな情けない私に愛想を尽かして、浮気してるんです/////」




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