第2章 紀州仇討ち編
お智ちゃん達が帰ると潤之助さんは、大倉さんに向き直って正座した
潤之助「拙者もコレにて失礼致します
仇討ちの件、貴殿には納得の行かぬコトもあるとは思うが、此処は一つ涙を呑んで穏便に済ませて頂きたく…」
潤之助さんは、大倉さんに向かって深々と頭を下げた
潤之助「…宜しく、お頼申し上げまする」
大倉「Σそ、そんな!頭を上げて下さい、松本さんっ!!(汗)」
大倉さんは慌てて潤之助さんの頭を上げさせると言った
大倉「仏門に入った者を深追いするつもりは拙者とて御座らん!
此処は相葉さんの言う通りにして、書状を頂き次第国に帰ります」
潤之助「…有り難う御座います」
潤之助さんはゆっくり顔を上げると大倉さんにお礼を言って立ち上がった
潤之助「…では、コレにて失礼」
潤之助さんはそう言うと玄関へ向かった
と
あたしの横でふと立ち止まり、顔を前に向けたまま、独り言のように呟いた
潤之助「…そうそう
あの葦の草原は、用心して通れば怪我など負わずに通れるものです
…特に、剣の達人の身のこなしが有れば、擦り傷ひとつ負わないでしょうな」
にの江「………」
潤之助「……では、御免」
そう言って意味ありげな笑みを遺すと、潤之助さんは帰って行った
大倉「……では、拙者も休ませて頂きます。
お休みなさい、相葉さん、にの江さん」
雅吉「おぅ!お休み!」
にの江「……お休みなさぃ」
大倉さんは、じっと雅吉の足元を見詰めたままのあたしを不思議そうに見てから
もう一度お休みなさいと言って客間へ戻って行った