第2章 紀州仇討ち編
潤之助さんの話を聞き終えた大倉さんは、難しい顔で腕組みをすると言った
大倉「事情は解りましたが、拙者とてこのままはいそうですかと帰る訳には参らん
姉上にも面目が立ちませんし、第一、仇討ちを果たさなければ国元に帰ることはまかり成りません」
お智「…それでしたら」
皆の後ろに控えるようにして座っていたお智ちゃんが口を開いた
お智「それでしたらわたくしが、大倉殿が、見事本懐を果たしたとの御墨付きを頂けるよう、父上にお願い申し上げましょう」
潤之助「なる程、殿に証明書を認めて頂くのですな、流石姫様」
お智ちゃんの話を受けて深く頷く潤之助さん
お智ちゃんは潤之助さんに向き直ってキリリとした顔で言った
お智「松本、わたしくからの書状をお父上に届けてくれますか?」
潤之助「それならば、明日にでも直々にお願い申し上げた方が宜しいかと
殿も、智子姫様に大層会いたがっておいでてしたので」
お智「そうですか……では、そのように致しましょう」
大倉「あの~…」
二人の会話を交互に二人の顔を見ながら聞いていた大倉さんが、遠慮がちに手を上げた
潤之助「どうされましたか、大倉殿」
潤之助さんが大倉さんの方を見ると、大倉さんは手を上げたまま言った
大倉「御墨付きを頂けるのは有り難いのですが、それだけで本懐を果たしたと認めて頂けるかどうか…」
雅吉「コイツを持って行きねぇ!」
にの江「!!………まっ……!!///」
雅吉「よぅ、にの江……たでぇま」
何とも呑気な声に振り向くと、雅吉が風呂敷を手にぶら下げて立っていた