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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第2章 紀州仇討ち編








にの江「おや、大倉さん!」


大倉「あぁ、これはにの江さん、お帰りなさい」



蜩の宿に帰って居間へ行くと

大倉さんが一人でちょこんと座ってお茶をすすっていた



大倉「やや、皆様お揃いで…あ、これは先日の…///」



ゾロゾロ上がってきた面々の中にお智ちゃんの姿を見付けて

大倉さんの顔が俄かに赤く染まる


お智ちゃんは赤くなった大倉さんの顔を見て、少し心配そうに訊ねた



お智「お侍様、お加減は如何ですか?」


大倉「あ、貴女から頂いた薬のお陰で、もうすっかり良いようです////」


お智「それは、よろしゅうございました///」



にっこり微笑むお智ちゃんと、真っ赤な顔でソレを見ている大倉さん

その二人の顔を見比べて、翔吾さんが渋い顔をした



翔吾「……お智ちゃん、この方が例のお侍様かぃ?」


お智「えぇ、そうです。もうすっかりよろしいんですって!流石、翔吾さんが見立てたお薬ね////」


翔吾「お智ちゃん////」



お智ちゃんに誉められて、途端にだらしなく顔を弛ませる翔吾さん



翔吾「いやいや、お智ちゃんが届けてくれたから///」


お智「だって翔吾さんの言い付けだもの///」


翔吾「でも次からお使いは一人でなんか行かせないからねぇ、お智ちゃん///」


お智「はぃ。私、翔吾さんと一緒が良いなぁ////」


翔吾「勿論さね、お智ちゃん♡」


お智「翔吾さん♡」


翔吾「お智ちゃん♡♡」


にの江「…あんたらね、良いからお座りょ(苦笑)」



仲良くイチャイチャしている二人を座らせると

そついをぼんやり見ていた大倉さんが、ぼそりと「…良いなぁ」と、呟いた




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