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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第2章 紀州仇討ち編






その眼は、町娘お智ではなく

大名の姫君の智子姫のものだった



お智「……松本」



凄みすら感じる低い声で名を呼ばれ、潤之助さんが背筋を伸ばして返答した



潤之助「Σハッ!!…何で御座いましょう」


お智「何があったのか、話しなさい」


潤之助「いえ、しかし…」


お智「松本ッ!」


潤之助「Σは、はいっ!!!(汗)」


お智「家を出たとは言え、わたくしはそちの主君の姫

そのわたくしの言うことが訊けぬと申すのか」


潤之助「そ、それは……(汗)」


にの江「…流石、大家の姫君だね、恐れ入ったょ(苦笑)」



あたしは迫力満点に潤之助さんを問い詰めるお智ちゃんに言った



にの江「全部キリキリ白状するから、取り敢えず家に行こうじゃなぃか

…流石にあたしも疲れてるんでね(苦笑)」


お智「まあ、そうですわね、ご免なさいにの江姉さん!」



お智ちゃんは憑き物が落ちたように何時もの可愛い顔に戻ってそう言うと

しゃがみ込んで座ったまま、ぼんやりお智ちゃんの顔を見ている翔吾さんに声を掛けた



お智「もしかしたら雅吉さんもお戻りかも知れませんし、翔吾さん、行きましょう

………翔吾さん?」


翔吾「かっ……かかっ……かぁっ…」


お智「?……か??」



カラスよろしくかぁかぁ言っている翔吾さんの顔を、お智ちゃんがのぞき込むと

そのお智ちゃんに翔吾さんが、ガバッと抱き付いて叫んだ



翔吾「お智ちゃん、格好いいぃいーッ!!!!////」


お智「ぃやぁん/////」


にの江「………(汗)」



(……ホント、新婚さんってヤツぁ(苦笑))



自分の新婚の頃はこんなじゃなかったけどなんて思いながら

あたしはもつれ合うようにしてしっかり抱き合いながら歩く新婚の2人を従えて帰路を急いだ




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