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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第2章 紀州仇討ち編









お智「にの江姉さぁ~ん!」


にの江「お智ちゃん!」



家の近くまで来て、もう自分で歩きますからと潤之助さんに降ろして貰って歩き出すと

家のある方からお智ちゃんが小走りにやって来た



翔吾「…にの~……にのぉ~え……さぁあ~ん…(汗)」



よく見れば、お智ちゃんに遅れて翔吾さんも此方に向かってヨレヨレと駆けてくる



にの江「どうしたんだぃ、お智ちゃん、こんな時分に…」


お智「……はぁ、はぁ、……どうしたとは……はぁ、はぁ、……此方の台詞で御座います……

……こんな、時分まで……どちらへ……///」



随分走ったのか、お智ちゃんは肩で息をしながら膝に手を付いた



にの江「…それは…」



あたしが言葉に詰まっていると、漸く翔吾さんが追いついて来た


此方はもう、倒れる寸前だ



翔吾「……ぜー……ま、雅吉……はー……兄さん、に……ぜー……ご、ごごご挨拶……はー…はー……しようと……」


お智「翔吾さん、私が話しますから、休んでいて?///」


翔吾「……おー……おー……おさ、と……ちゃん……」



お智ちゃんは今にも死にそうな顔でぜーはーやってる翔吾さんの背中を優しく擦った



お智「夕刻になって翔吾さんが、やっぱり早く雅吉さんに会いたいと言い出して

それで、蜩の宿に参りましたら、雅吉さんは疎か、にの江姉さんまでいらっしゃらなくて…

…それで、何かあったのではと心配になって、ずっと翔吾さんと2人で一緒に探していたのです」


にの江「………そうかい」



(2人で一緒にって(苦笑))



手分けして捜そうとは思わなかったんだろうかと思っていたら

お智ちゃんが顔をしかめて潤之助さんの足を見た



お智「…時に父上。足をどうされたのです?」


潤之助「え?…いや、これは…」


お智「………」



口ごもる潤之助さんを見たお智ちゃんの目つきが変わった




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