第2章 紀州仇討ち編
懐に突っ込まれていた男の手が、あたしに向かって伸びて来る
にの江「……!!///」
あたしは震える脚を奮い立たせて男の横を駆け抜けようとした
その瞬間
ドスっと言う鈍い音と共に、腹に激痛が走る
にの江「Σうぅッ///」
薄れていく視界の片隅に
男のニヤケた顔が微かに見えた
にの江「………ぅ……ぅう////」
お腹の痛みを伴って、俄に意識が浮上する
男「おぅ、眼が覚めたか」
にの江「!!!////」
目の前にさっきの男が居て、あたしは慌てて着物の裾を掻き合わせた
男はそれを見るとふんと鼻を鳴らして笑った
男「心配しなくても、まだ手は付けてねぇ………俺は、意識の無い女とやる趣味はねぇんでな」
にの江「………」
座ったまま後ろに下がると、すぐに背中が壁に当たる
小さな手明かりだけに照らされた暗い部屋に目が慣れて来て、辺りを見回すと
とても手入れがされているとは思えない、汚い小屋にいる事が解った
それが一体何処にある小屋なのかは、皆目見当が付かないけれど…
男「………さて、じゃあちょっと愉しませて貰おうか……にの江さんよ」
にの江「あっ…!!////」
狭い小屋の中に逃げ場などなく
あたしはアッサリ男の手に捕まった
暴れた拍子に着物の裾が肌けて内腿が露わになる
男「!!」
それを見た男が、あたしの両手首を掴んで拘束したまま、苦い顔をした
にの江「?………あっ/////」
見れば、何時の間に付けたのやら
昨夜雅吉が戯れ事で付けたらしい、朱い痕が付いていた