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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第2章 紀州仇討ち編






それを聞いてお智ちゃんが、可愛い顔を更に真っ赤に染めて言った



お智「////でもっ!昨日も此方に寄らせて頂いてる間、翔吾さんの事が気掛かりで…///」


翔吾「あたしもだょ、お智ちゃん!!////」



翔吾さんは、お智ちゃんの手を、胸の前で握り直した



翔吾「可愛い可愛いお智ちゃんが、何処ぞの馬の骨に拐かされやしなぃかと、気が気でなくて!!////」


お智「翔吾さん////」


翔吾「お智ちゃん////」



手を取り合って見詰め合う二人


あたしは、大袈裟に溜め息を付いて言った



にの江「はぁ~……わざわざ仲良くお出ましになってくれたのは良いけどね

肝心の雅吉とお侍さんは、今留守だょ」


翔吾・お智「「えっ?」」


にの江「………(苦笑)」



仲良く揃って驚きの声を上げる二人



(…まあ、新婚だから、仕方ないかねぇ(苦笑))



じゃあ薬はどうしよう、とか

雅吉兄さんの土産話が聞きたかった、とか


何時までも手を握り合って見詰め合いながら話して居る二人を見て

まあ仕方ないなんてちょっと苦笑いをしていたら

その二人の後ろから凛々しい声がした



潤之助「これは、お智と翔吾殿では御座らぬか」


お智「まあ!父上ではありませぬか」



お智ちゃんが翔吾さんの手を握ったまま、振り向いて驚きの声を上げる



にの江「潤之助さん…」


潤之助「…お邪魔致します、にの江殿」



そう言って顔を出した潤之助さんは

何時も以上に渋い顔をして、眉間にシワを寄せていた




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