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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第2章 紀州仇討ち編






その辺の親父を捕まえては場所を訊いて

俺は忠義の道場に辿り着いた



雅吉「お?居た居た!」



中を覗くと、真剣な眼差しで剣術を指南する懐かしい姿が目に入った


俺は担いだ魚を振りかざして、忠義を呼んだ



雅吉「よぅ!忠義!」


大倉「おぉ!相葉さん!これはお懐かしい!!」



俺の声に振り向いた忠義が、満面の笑顔で駆け寄ってくる



大倉「わざわざ江戸から来て下さったのですか!」


雅吉「あったりめぇよぅ!可愛い後輩の晴れ姿を見ずにおけるかってぇんでぃ!」


大倉「かたじけのう御座います!」


雅吉「良いってことょ!…ほら、土産だぜぃ!」


大倉「Σわっ!!(汗)」



俺はさっき釣った魚を忠義に放り投げた



大倉「ど、どうしたのですか、この立派な魚は!?」


雅吉「んん~?ちょいとそこの川で釣ったのょ!」


大倉「そ、そこの川で、ですか?(汗)」



忠義は物珍しそうに渡された魚を眺めた



大倉「いや、あの川でこんな大物を釣ったのは見たことが御座らん!

流石は相葉さん!」


雅吉「あっはっはっはっ!何が流石でぃッ!!」

──バシッ

大倉「Σごふっ!!(汗)」



俺に背中をぶっ叩かれて咽せる忠義



大倉「ぃてて…あぁ、折角ですから奥へ上がって下さい。

兄にも紹介したいですし」


雅吉「忠義の兄さんって言やぁ、藩のお目付役じゃあなかったかぃ?」


大倉「ええ。自慢の兄です」



忠義は嬉しそうに笑うと、魚を掲げた



大倉「コイツを酒の肴に、一杯やりましょう、相葉さん!」


雅吉「おぅ、良いねぇ!」



俺と忠義案内されて、道場の奥にある忠義の屋敷へ向かった




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