第2章 紀州仇討ち編
雅吉「Σいっけねぇ!ありゃあ本気で殺る気だぜぃ!!」
俺は殺気の籠もった生田の目を見て慌てた
と
未だ川面に垂らしたままの釣り竿の糸が、ググッと沈んだ
雅吉「Σこれまたいけねぇ!掛かりやがった!!」
俺は、大急ぎで釣り糸を手繰った
「Σぎゃあーッ!!」
一生懸命糸を手繰っている途中で、橋の上から凄まじい悲鳴が聞こえた
雅吉「Σおぉおッ!?」
驚いて橋の方を見ると
さっきの男が、血飛沫を飛び散らせながら橋の上にバタリと倒れた
「兄貴ッ!!」
「畜生、逃げろッ!!」
残りの男たちがバタバタと走って逃げていく
生田はそれを見送ると、倒れた男の着物で刀に付いた血を拭って
ふらっと男たちが走り去ったのと逆の方へ歩き去った
雅吉「………………釣れた。」
俺は、驚いた拍子にすっ飛ばした釣り糸にくっ付いたままの魚を抱きかかえながら
生田が去って行った後をしばらくぼんやり眺めていた
雅吉「まあ、何だ………取りあえず、コレ持って行くか」
俺は、拾った竿で釣ったとは我ながら思えない大物を竿ごと担ぎ
忠義が開いたと言う道場に向かった