第2章 紀州仇討ち編
雅吉「あぁ……知らせを受けてから、早速紀州まで行ってよぅ…
…ありゃあ、紀州に着いてすぐに、手土産に魚でも釣って行ってやろうと川で釣りをしてる時だった…」
雅吉は、相変わらずあたしの髪を撫でながら
紀州へ行ってから、江戸に戻るまでの話しを語り始めた
雅吉「ん~…なかなか釣れねぇなぁ」
俺は、その辺に放ってあった棒っきれに、これまた拾った糸をくっ付けただけの粗末な釣り竿を振りながら首を傾げた
雅吉「やっぱし、これじゃあ釣れねぇかなぁ?」
「おい待て!貴様!!」
雅吉「んん?」
その辺の草村に、餌になりそうな虫でも居ねぇかな、なんて思っていたら
男のドスの利いた声がした
見ると、近くの橋の上で男数人が一人の浪人を囲んでいる
雅吉「!!………あれは……」
よくよく見ると、囲まれている浪人にはどうも見覚えがある
雅吉「いや、まさか……奴さんはもっとこう……」
思わず立ち上がって様子を窺っていると
浪人を囲んだ男の一人が怒鳴った
「やい、生田!いい加減借りた金を返せ!
返せねぇってんなら、それ相応の落とし前を付けて貰おうじゃねぇか!」
雅吉「!!!!」
(生田だって!?…じゃあ、やっぱり…)
自分が思い当たった人物がやはりソイツだと解り、俺は目を見張った
雅吉「アイツ……何だってあんな……」
以前の自分の知っている姿とは余りにも変わってしまっている奴を目の前にして戸惑う
生田「…落とし前?
良いだろう。付けてやろうじゃないか」
生田はギロリと男を睨むと、スラリと腰の物を抜いた