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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第2章 紀州仇討ち編






大倉「く、薬?……!!////」



薬と聞いて顔を上げた大倉さんが、お智ちゃんを見て固まる



(あ~あ、またこりゃ…翔吾さんの二の舞かねぇ(苦笑))



あたしは、真っ赤な顔でお智ちゃんを熱心に見詰める大倉さんを見て、小さく溜め息をついた



雅吉「おぉ?どうした忠義の!

赤い顔しやがって、熱が上がっちまったんじゃねぇのか!?」


大倉「え?…あ、いやその////」


お智「まぁ、大変!////」



お智ちゃんは惜しげもなく可愛い色気を振り撒きながら、あたしの手の中の薬箱を開けた



お智「にの江姉さん、ちょっと失礼致します」



お智ちゃんは慣れた手付きで薬の包みを一つ手に取ると、あたしを見た



お智「にの江姉さん、申し訳御座いませんが、白湯を一杯お持ち下さいませんか?」


にの江「あぁ、白湯ね。ちょぃとお待ちよ」



あたしは足早に台所へ行くと湯呑みに白湯を入れて戻って来た



にの江「はぃよ、お智ちゃん」


お智「有り難う御座います」



お智ちゃんはあたしから湯呑みを受け取ると、失礼致しますと言って大倉さんの隣に座った



お智「コレをお飲み下さいまし」


大倉「は、はははい/////」



お智ちゃんに薬と白湯を手渡された大倉さんは、あたふたしながらそれを口に流し込んだ



大倉「Σぐふっ…ごほごほごほっ////」



慌てて薬を流し込んだもんだから、大倉さんは白湯を零しながら咽せ返った



お智「大丈夫ですか?///」



それを見てお智ちゃんが、心配そうに大倉さんの顔を覗き込みながら、手拭いで大倉さんの口元を拭う



大倉「か、………か、かたじけなぃ、………で御座る/////」


お智「どぅいたしまして///」



ぼぅっとお智ちゃんの顔を見詰める大倉さんに

お智ちゃんが止めを刺すように、飛びきり可愛らしく微笑んだ




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