第2章 紀州仇討ち編
雅吉「おぉ~ぃ、にの江ぇ!翔の字はまだかぃ!」
風呂敷の中身を確認しようとしている所で
雅吉が奥からドタバタと足音を響かせてやってきた
にの江「ウルサいね、今お智ちゃんが来たトコさ!」
雅吉「んん?」
お智「ご無沙汰しております、雅吉さん。
お帰りなさいませ」
雅吉「おぉ!お智ちゃん!
こりゃあ見違えたなぁ、すっかり女っぷりが良くなって!」
雅吉は顎に手をやってお智ちゃんの顔をマジマジと見ると
ニヤリと笑った
雅吉「こいつぁ相当翔の字に可愛いがって貰ってると見える!」
お智「えっ//////」
それを聞いて、お智ちゃんが頭から湯気が出そうな位顔を赤くして、両手で口を押さえた
あたしは無神経なことを言う馬鹿亭主の頭を思い切り小突いてやった
にの江「この、馬鹿がっ(怒)」
雅吉「いてッ」
雅吉は大袈裟に小突かれた頭を擦ると、ちぇっとふて腐れた顔をした
雅吉「なんでぃ、にの江!俺ぁお智ちゃんを誉めたんだぜぃ!」
にの江「馬鹿をお言いでないょ、このスットコドッコイ!」
大倉「ま、まさ…雅吉さん」
あたしと雅吉が玄関先で小競り合いをしていたら
今度は奥から、さっきの大倉とか言う若者がヨロヨロと歩いて来た
雅吉「なんでぃ忠義の!寝てなきゃ駄目じゃねぇか!」
大倉「し、しかし拙者にはやらねばならぬコトが…」
言いながら、余程具合が悪いのか、大倉さんはその場にへたり込んでしまった
雅吉「言わんこっちゃねぇ!」
慌てて大倉さんに駆け寄る雅吉
それを見て、お智ちゃんが大倉さんの顔を覗き込むようにして言った
お智「お加減がお悪いのですか?
宜しければ、私がお持ちしたお薬を試して下さいまし」