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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第6章 盗賊始末騒動編


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それから数日後



お智ちゃんの早とちりが発端ではあったものの

あたしと雅吉は、祝言を挙げて正式に夫婦になり


雅吉が名を改め『二宮雅之進』として、二宮家に婿入りする事が決まった




そして、更にその数日後



仲人を薬種問屋の大旦那と大女将に任せ


翔吾さんお智ちゃん夫婦は勿論

潤之助さんや大倉さん達が見守る中


あたしと雅吉の祝言が執り行われたのでした








侑李「……ははさま、とっても綺麗////」




侑李が、三三九度の御神酒を注ぎながら

嬉しそうに呟く




にの江「ありがとう、侑李///」




照れて笑うあたしを見て

同じく御神酒を注ぎながら、恋太郎ちゃんが元気良く叫んだ




恋太郎「おいちゃんも、きれいらよ!!」


雅吉「………そこは、格好いいってぇ言うんじゃねぇのかぃ?恋太郎よ(笑)」


恋太郎「あい??」




可愛いく首を傾げる恋太郎ちゃんに、無駄に高まった緊張が解れて


あたしは雅吉と目配せして微笑み合うと

誓いの杯に口を付けた





三三九度を無事済ませたあと

厳かに進んで来た祝言も、いよいよ仲人さんの賀詞と祝の謌を残すのみに…




それまで大人しくしていた雅吉が、ニヤニヤ笑いながらあたしにコソッと耳打ちをした




雅吉「よぅ…………脚、痺れちまった……胡座かいても良いか?(笑)」


にの江「なんだぃ無作法だね、ダメに決まってるだろ

もうちょっとだから、我慢おし(怒)」


雅吉「…………へぃへぃ、武家の奥方様は、作法に煩ぉ御座いますなぁ」


にの江「…………ばか(怒)」




そんな事をしている内に、賀詞が済み

仲人の大旦那が、ほこんと咳払いをすると、気持ちよさげに高砂を唄いだした




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