第6章 盗賊始末騒動編
.
その頃
─押し込み強盗の盗人宿─
盗賊「お頭、お頭!」
お頭「なんでぇ、騒がしいな」
盗賊「お頭、願ってもねぇ話しですぜ……江戸で一・二を争う美人女将を纏めて頂く、願ってもねぇ絶好の機会でさぁ!」
お頭「あぁ?どう言うことでぃ?」
盗賊「いえね?次の押し込み先にって目星を付けていた薬種問屋の、例の江戸一番だってぇ評判の美人女将なんですがね?
なかなか顔を拝めねぇんで、どうしたもんかと思ってたら
なんと、これまた美人だってぇ評判の宿屋の女将んとこに行くのを昨日の昼前に見掛けやして様子を窺っておりやしたら
どうやら、あっしらが押し込むのを用心した家の者が、女将をしばらくの間宿屋に預けるのが解りやしてね
…なんせ、あの宿屋には、『人斬り雅之進』ってぇ凄腕の用心棒が居やがりますから」
お頭「それの何処が絶好の機会なんでぇべらぼうめッ(怒)」
盗賊「いやいや、ところがですよ、お頭!
その雅之進の野郎なんですがね、どうやら大名家から、近頃物騒だってんで、屋敷の警護を頼まれてお呼びが掛かっているらしくて
探りを入れたところ、今日の晩に、その大名家へ行くらしいんでさぁ
…夜通しの警護に当たる為に」
お頭「……そいつぁ確かな話しなんだろうな」
盗賊「へい、ついさっき雅之進の野郎が、髷を結いに髪結い床に来て、そこで自慢気に話してたってぇ話しなんで、間違いねぇでさぁ」
お頭「……………よし、お前早速仲間を集めろ!」
盗賊「へいっ!」
お頭「……こいつぁ今宵は、存分に楽しめそうだぜぃ……
……くくくくく……あーっはっはっはっはっ!!」
.