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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第6章 盗賊始末騒動編


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お智「にの江姉さん、おめでとう御座います!

晴れて、正式に夫婦の契りを交わされるのですね!

ああ、そうですわ!

きちんと婿入りなさるのでしたら、ちゃんと祝言をあげなくちゃなりませんものね?

仲人はうちのお父様とお母様にお願いなさると良いですわ!


ああ、それにしてもなんておめでたい事でしょう!!////」


にの江「……………はあっ!?(汗)」


お智「うふふっ…お家に帰ったら早速お父様とお母様にお願いしなくちゃ♪」


にの江「………(苦笑)」




いきなり婿入りだ祝言だと言われて呆気に取られるあたしを尻目に

さっきまでの食欲のなさが嘘の様に美味しそうにお粥を食べ始めるお智ちゃん


あたしはその様子を見て、再びお茶を啜りながら苦笑いをした




(………まあ、そんな事で食欲が出るなら、勘違いされたままでも良いけどねぇ(苦笑))




にの江「…………」




(……婿入り……か……)




遠い昔

叶わぬ青い恋の所為で途絶えてしまった家


それが、再び次の世代へと繋がって行くかも知れない予感に

胸が俄かにざわつき始める




(……もし、もしも、雅吉が嫌じゃなかったら……

……もしも、ちゃんと祝言を挙げて、雅吉が二宮家に婿入りしてくれたら……)




にの江「………そんなこと、あるわけないわよね///」




あたしは、俄かに湧き上がって来た淡い期待を腹の底に押し戻す様に

湯飲みに残ったお茶を一気に飲み干した




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