第6章 盗賊始末騒動編
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お智「雅吉さんは、お出掛けになられたのですか?」
雅吉が出掛けて行ってからしばらくして、客間からお智ちゃんが顔を出した
相変わらず顔色はあまり良くは無いけれど、昨日家に息も絶え絶えになりながらやって来た時よりは、大分マシなようだ
にの江「ああ、ちょっとね…
それよりお智ちゃん、気分はどうだぃ?
大丈夫そうだったら、粥を作っておいたから、少しおあがりよ」
お智「……ええ、気分は悪くありませんけれど……でも……///」
にの江「なら、少しで構わないからおあがり?
お産は体力勝負だろぅ?
もうじき産まれるんだから、少しでも体力を付けとなかくちゃね?」
お智「………はぃ///」
お智ちゃんは、あまり気が進まない風ではあったものの、素直に頷いて部屋から出てくると
卓袱台の前にお行儀良く正座をした
にの江「じゃあ、ちょいと待っといてね、お智ちゃん
今、粥を持って来てあげるから」
お智「有り難う御座います」
にの江「はいょ(笑)」
それから
礼儀正しくお礼を言うお智ちゃんを居間で待たせて、勝手処へ粥を取りに行くと
ふと、家の外の垣根の裏に、怪しい人影があるのに気が付いた
(……押し込み強盗の見張りかしらね)
もしかしたら、昨日大倉さんが言った通りにあたしの宿屋にも見張りが付いていたのかも知れないと思い
また、笑みが込み上げる
にの江「……ま、それが解ったところで、あたしにはどうにも出来ないけどねぇ」
あたしはちょっと浮つき掛けた気持ちを落ち着かせるようにそう呟くと
粥をよそって居間へ戻った
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