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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第6章 盗賊始末騒動編


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にの江「ばあ〜かっ!!/////」




可愛いなんて言われて、益々意固地になってバカって言うあたしをみて

雅吉は益々嬉しそうに目を細めた


そして、抱きしめたあたしの背中を優しく撫でながら言った




雅吉「盗賊の野郎は、俺が必ずとっちめてやるからな…

…この、二宮家の家宝の刀でよ(笑)」


にの江「……あんた、とうとう人を斬る気かぃ?」


雅吉「まさかな(笑)」




宝剣で盗賊をとっちめるなんて言うのを聞いて、あたしがちょっと不安げな顔をすると

雅吉が、笑いながら腰に差した剣を叩いた




雅吉「せっかくの家宝を、盗賊なんかのきったねぇ血で汚しゃしねぇよ

押し込み強盗なんざ働く外道の相手なんざな、峰打ちで十分さね(笑)」


にの江「んじゃあ、別に、得物は竹刀でも良かったんじゃないのかぃ?」


雅吉「はっはっはっはっ!堅いこと言うなぃ、にの江よぅ!!(笑)」


にの江「………んとに、バカなんだから(笑)」




あたしは、何時も通りに亭主をバカ呼ばわりしながら

その、逞しく頼りがいがある胸に甘えて顔を埋めた




にの江「…………明日の夜は、バタバタするだろうからね………


………今夜は…………」


雅吉「………言われなくともよ

今夜はじっくり、可愛がってやるぜ、にの江」


にの江「…………ばか////」




雅吉は、小さくバカって呟くあたしを見て、また嬉しそうに可愛いなぁなんて言うと


軽々とあたしを抱き上げた




雅吉「お智ちゃんも寝ちまってるし、明日ぁゆっくり寝れねぇだろうからよ

ちいと早ぇが、寝るとすっか!」


にの江「………////」


雅吉「あっはっはっはっ!!(笑)」




雅吉は、何も言い返さないあたしを抱きかかえたまま、愉快そうに笑うと


そのまま寝所へ向かった







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