第6章 盗賊始末騒動編
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それから
無言のままで徐に箱の紐を解くと
ゆっくりと、桐の箱の蓋を開けた
雅吉「…………」
そのまま、無言のままで箱の中から剣を取り出す雅吉
そして、手に取った剣を、何かを確かめるようにゆっくりと鞘から引き抜いた
雅吉「…………ほぅ…………」
鞘から引き抜いき、姿を現した刃を見て、ため息とも吐息ともつかない声を漏らす雅吉
そして、しばらくの間、しげしげと刀を見詰めると、またため息混じりに呟いた
雅吉「……………こいつぁ…………銘刀だ
見て見ろ、この見事な波紋を………こりゃあ、よっぽどな名工の仕業だな」
にの江「………気に入ってくれたかぃ?」
惚れ惚れとした顔で剣を眺める雅吉に、あたしがそう訊ねると
雅吉は、刀を鞘に納めて、すっとそれを腰に差し
そして、あたしをグッと抱き寄せた
雅吉「気に入るも気に入らねぇもなぃさ…
…お前といい、この宝剣といい…俺なんざにゃあ勿体無い代物だょ」
にの江「………雅吉…////」
雅吉「……ありがとな、にの江……
……俺ぁ日本一の果報者だぜ」
にの江「……何調子の良いこと言ってやがんだぃ、……ばぁか////」
あたしが照れ隠しに“ばか”って言ったら
それを聞いた雅吉が、嬉しそうに目を細めて呟いた
雅吉「へへっ……んとにょ、お前って女は素直じゃなくて………可愛いなぁ(笑)」
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