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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第6章 盗賊始末騒動編


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にの江「じゃあ、どうすれば…」


雅吉「俺にちょいと良い策があるんだがなぁ……それにはちょいと、用立てなきゃなんねぇモンがあるんだが…」


にの江「用立てなきゃなんないもん?……なんだぃ、そりゃ」




用立てなきゃなんないもんなんて聞いて、あたしが訝しがって首を傾げると

雅吉が、それまでと打って変わった真面目な顔をして言った




雅吉「………………刀さ」


にの江「………え?」


雅吉「………一度棄てたもんを、もう一度手にするなぁみっとも良いモンじゃあねぇけどょ

可愛い女房と子供を守る為にゃあ、そんな意地を張ってる場合じゃあねぇからよ」


にの江「………お前さん………」


雅吉「…………ずっと、考えてたんだ………

…………俺は………お前と、侑李の為に



…………また、剣の道に戻って、きっちり髷を結い直そうってな」







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にの江「じゃあ、あたしは恋太郎ちゃんと侑李を翔吾さんの所へ預けに行きますから

お智ちゃんの事は頼みましたよ」


雅吉「お〜、任せとけって!

ついでに例のアレも、適当に見繕って来てくれや!」


にの江「適当に見繕えるモンじゃないだろ、刀なんて(苦笑)


まあ、ちゃんと用立ててやりますけどね」


雅吉「おう、頼まぁ!

じゃあな、侑李に恋太郎

ちゃんと良い子にしてんだぜぃ!」


侑李「はい、ととさま///」


恋太郎「あい!おぃちゃん、かぁたまをたのんだろ!!」


雅吉「おう、任しとけ!(笑)」




あたしは、調子よくあたしらに手を振る雅吉を宿に残して

子供らを連れて翔吾さんの元へ向かった





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