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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第6章 盗賊始末騒動編


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にの江「ちょいとなんだぃお前さん、そんな所で盗み聞きなんかして、何してやがったのさ!」


雅吉「なんだぃはこっちの台詞だぜぃにの江よう!

おめぇさん、人に用事を言い付けといてそりゃあねぇだろうょ(笑)」




そう言ってカラカラと笑いながら襖を開けて奥座敷に入って来た雅吉は

懐に手を突っ込んだまま、ドカッとあたしの隣に胡座をかいて座った




にの江「お前さん、どうだって良いけどちゃんとあたしが頼んだ用事は済ませて来たんだろうね?」




あんまり早い帰りに、あたしが訝しげにそう訊ねると

雅吉はまたカラカラと笑いながらあたしの肩を抱き寄せた




雅吉「おぅよ!ちゃあんと調べは付けて来たぜぃ!

そりゃあもぅ、てぇへんな騒ぎになってたけどなぁ(笑)」


お智「…大変な、騒ぎ…で、御座いますか?////」




騒ぎと聞いて、お智ちゃんが不安げに眉を寄せる


雅吉は、そんなお智ちゃんに、にいっと笑ってみせると、あたしの肩を抱いたままで、翔吾さんのところへ寄った時の事を話し始めた




雅吉「いやあ、探りを入れる必死も何も無かったぜぃ

なんせ、聞いても居ない内から翔の字のヤツが事情を明かし始めてくれたんだからよぅ!(笑)」




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