第6章 盗賊始末騒動編
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にの江「……なるほどねぇ、そう言う訳だったのかぃ」
あたしは、お智ちゃんの話を聞き終わると
腕組みをして深く頷きながら唸った
お智「……はい……にの江姉さん、私……一体どうすれば良いのでしょう?///」
にの江「……離縁させる、とは、一言も口にしちゃあ居なかったんだろぅ?」
お智「………え?」
あたしは腕組みを解いて、お智ちゃんの冷たくなっている華奢な手を握った
にの江「実家に返した方が良いんじゃないか、って言ったのは、あんたの身を案じてのことじゃあないかしらねぇ
さっき、大倉さんがここに来ていたのもその用件だったんだけど
近頃、美人女将が居る店ばかりが狙われる押し込み強盗が流行っててねぇ
きっと、その噂を聞いた大女将が、悪阻で弱っているあんたの身を案じて、いっそ実家で養生させた方が安全なんじゃないかって思ったんじゃないかねぇ
あんたの実家はあの貧乏長屋ってことになってんだからさ
押し込み強盗なんざ、襲われる心配がないからねぇ(笑)」
「さすがぁ俺の女房だな
その通りだぜぃ」
あたしがお智ちゃんの冷たい手を擦りながら話していると
何時から居やがったんだか、襖の向こうからバカ亭主の声がした
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