第6章 盗賊始末騒動編
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恋太郎ちゃんは、あたしの視線を感じてか、ちょっとだけあたしの方へ目を向けると
すぐにお智ちゃんの方へ視線を戻して言った
恋太郎「……じぃじとばぁばが、かぁたまにいじわるをいうから、こいたろーが、まもったげるんらもん///」
お智「………恋太郎///」
泣きそうになりながらも、いっちょ前に母親を守ろうと男前に宣言する恋太郎ちゃんを見て
お智ちゃんの涙目が益々潤む
あたしは、お智ちゃんのこぼれ落ちそうな涙を袖口で拭ってやると
なんとも頼もしい薬種問屋の跡取り息子に言った
にの江「こいつぁ頼もしいねぇ
じゃあ、そんな頼もしい用心棒さんに、にの江おばさんからちょいとお願い事を頼もうかしらねぇ」
恋太郎「おねがい?///」
自分の事を『用心棒』と言われ、更に『お願い事を頼む』なんて言われて
暗かった恋太郎ちゃんの顔が、ぱあっと明るくなる
あたしは、そんな恋太郎ちゃんの様子に微笑みながら言った
にの江「そう、お願いだよ恋太郎ちゃん
あんた、お庭に出て見張りをしてくれやしないかねぇ
ほら、大旦那やら大女将やらがおっかさんに意地悪をしに来たり
大倉さんが性懲りもなく戻って来て騒ぎ出したら難儀だろぅ?」
恋太郎「あい!わかった!///」
恋太郎ちゃんは、あたしのお願い事を聞くと、元気良く返事をして立ち上がり
侑李の手を引っ張った
恋太郎「ゆうたんもいっちょにみはりちよ!」
侑李「うん、いいよこいちゃん、一緒にみはりしよう」
侑李はすっかり元気を取り戻した恋太郎ちゃんに、グイグイ手を引っ張られながらそう言うと
あたしとお智ちゃんにお行儀良く一礼して、そのままグイグイ恋太郎ちゃんに手を引かれて庭の方へ出て行った
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