第6章 盗賊始末騒動編
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にの江「お智ちゃん、大丈夫かい?
ちょいと起きて、こいつをお飲み?」
奥座敷に戻ったあたしは、そう言いながら一旦湯飲みを畳の上に置いてお智ちゃんを抱き起こすと
白湯の入った湯飲みを、お智ちゃんの折れそうな程に細くなってしまった手に握らせた
お智「………ありがとう、御座います………」
お智ちゃんは、小さな震える声で礼を言うと
一口だけ白湯を飲んだ
にの江「侑李に恋太郎ちゃん
あんたたちはちょいと、庭に出て遊んでおいで?」
あたしは、それ以上飲む気配のない白湯が入った湯飲みをお智ちゃんの手から取り、再び床につかせると
布団の横に、二人で並んでちょこんと座っている子供らにそう言った
と
庭で遊ぶように言われた恋太郎ちゃんが、恋太郎ちゃんにしては珍しく、小さな声で泣きそうな顔しながら呟く様に言った
恋太郎「いやら……こいたろー、かぁたまのそばにいる//」
にの江「おっかさんにはあたしが付いてるから心配ないよ
ちょっと、おっかさんを静かに休ませてあげたいから、恋太郎ちゃんはお庭で侑李と遊んで…」
恋太郎「いやらっ!!///」
恋太郎ちゃんは再び庭で遊ぶように言われると、あたしの話しを遮るようにまた嫌だと言って頭を振った
にの江「恋太郎ちゃん…」
恋太郎「……こいたろーが、まもったげるんらもん///」
にの江「え?」
あたしは、何だかちょっと思い詰めた風に母を守るなんて言う太郎ちゃんの顔を覗き込んだ
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