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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第6章 盗賊始末騒動編


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にの江「まあっ!顔色が真っ青じゃないのさ!

一体全体どうしたって言うんだぃ!?」


お智「……にの江、姉さん……わたし……私は、私は、………離縁など、しとう、御座いません…////」


にの江「はっ!?離縁だって!?」


恋太郎「じぃじとばぁばがおばかさんなのらっ!!(怒)」




お智ちゃんの口から“離縁”なんてとんでもない言葉がとびだしてあたしが目を丸くすると

恋太郎ちゃんがお智ちゃんの背中を擦する手を止めて、涙をいっぱいに溜めた目をあたしに向けた




にの江「大旦那と大女将がどうかしたのかぃ?」


侑李「……あの、ははさま……」




勝手口にしゃがみ込んでお智ちゃんを抱えたまま、恋太郎ちゃんに話を聞こうとしたあたしに

侑李が遠慮がちに声を掛けてきた


それを聞いてあたしが、なんだぃって言いながら侑李の方を振り向いて見ると、侑李が着物の裾をもじもじと弄りながら言った




侑李「……あの、あのね?

こいちゃんのははさま、おかげんが悪そうですから、お部屋に寝かせてさしあげた方がいいかなぁって…」


にの江「ああ、そうだね侑李の言う通りだょ、ありがとうね」




あたしは礼を言いながら利発で気の利く愛しい我が子の頭を撫でると、ぐったりと座り込んでいるお智ちゃんの体を支えながら立ち上がった




にの江「そう言う訳だから、話は奥で聞かせてもらうょ

恋太郎ちゃんも、いらっしゃいな」




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