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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第6章 盗賊始末騒動編


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お智「ごめんください、お智で、御座います…

…にの江…にの江姉、さんっ…///」


侑李「はぁい、ただいま参ります」




息も絶え絶えと言った感じで、それでも懸命に大きな声を上げてあたしを呼ぶお智ちゃん

それを聞いて、奥で話をしているあたしに気を使ったのか、侑李が返事をしながら勝手口へ向かう気配がした


一方、その声を聞いた大倉さんは、また大いに焦ってアタフタと慌て出した




大倉「ややっ!にににの江さんお智さんは確か寝込んでおられたのでは!?」


にの江「そうだね、随分具合の悪そうな声をしていたし…大倉さん、ちょいとここで待っていておくれょ」


大倉「は、はい…(汗)」




あたしは腰を浮かせて今にも勝手口へ向かいそうな大倉さんに、奥座敷で待つように言うと

足早に勝手口へと向かった





侑李「こいちゃんのははさま、しっかりなさって下さい!」


にの江「!?」




勝手口へ向かっている途中で、侑李のちょっと慌てた声が聞こえてきて

あたしは小走りに勝手口へ急いだ


すると、勝手口の戸の前にお智ちゃんがお腹を押さえてうずくまっているのが見えて

その後ろで、恋太郎ちゃんが今にも泣きそうな顔をしながら一生懸命に母親の背中を擦っていた




にの江「お智ちゃん大丈夫かぃっ!?」


お智「……にの、江、ねぇ…さん…////」




あたしが駆け寄ってそのやせ細った身体を抱きかかえると、お智ちゃんは苦しげにあたしの名前を呼びながら顔を上げた



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