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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第5章 神隠し騒動編


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雅吉「だから、大した怪我じゃねえって…」
にの江「うるさいね!四の五の言ってないでお見せよッ!!///」

雅吉「Σいててててッ(汗)」



傷口を見せないと言うことは、余程深い傷なのに違いないと思い

心配のあまり涙ぐんだあたしに、乱暴に傷口を押さえていた手を払い退けられて

雅吉が珍しく痛そうに顔を歪めた



見れば、そんなに深い傷ではなかったものの

一直線に入った傷口は化膿しているのか、赤く爛れてしまっていた



にの江「………何処が、掠り傷なんだぃ///」

雅吉「……うるせぃや。掠り傷ったら掠り傷でぃ。」



雅吉は傷口をあたしに見られると、バツが悪そうにソッポを向いてうそぶいた



にの江「……全く……心配かけんじゃなぃよ……」



あたしはポツリとそう言うと、それ以上は何も言わずに雅吉の傷の手当てをした






雅吉「………やっぱり、アレだな………真面目に稽古してなきゃあ、嫌でも腕は鈍っちまうもんだなぁ」



傷の手当てお終えて、雅吉に新しい着物を出してやっていると

雅吉が独り言の様にボソッとそう言った



にの江「………」



雅吉にしては珍しい弱気な言葉に、出した着物片手に振り向いて雅吉を見ると


雅吉は、なんだかちょっと情けない顔をして

真新しい包帯が巻かれた腕をしげしげと見つめていた



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