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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第5章 神隠し騒動編


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にの江「雅吉っ!!///」



侑李に釣られて、あたしもつい声をあげてしまうと


雅吉はあたしと侑李を交互に見て、至って何時もと変わらない調子でへらっと笑ってみせた


それから、中途半端にぶら下がった袖を引きちぎって捨てると言った



雅吉「心配すんねぃ、にの江に侑李!

俺としたことが、ちぃとばかり油断しちまったが

俺ぁこんなへなちょこ野郎にゃあ負けたりしねぇからよ!」

用心棒「なんだとぉ、小癪なッ!!」

雅吉「おっと」



用心棒が放った次なる一撃を、今度は身を翻してかわすと

雅吉の目つきがガラッと変わった



雅吉「………血は一滴も流すつもりはねぇがな

骨の一本や二本は、覚悟しやがれよ」

用心棒「なにっ……!!!」



用心棒が身構えようとした次の瞬間、雅吉の手に握られていた剣が風を切って用心棒の小手を払った



用心棒「うぅ……うあッ!!!(汗)」

─バシンッ


小手に強烈な一撃を食らった用心棒が手首を押さえて刀を落とした刹那

今度は鞘に収まったままの剣が、用心棒の腹を突いた



用心棒「ぐっ……う、ぅ……」



用心棒は、呻きながら体をくの字に曲げると

そのまま前のめりにばたりと倒れた



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