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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第5章 神隠し騒動編


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荷の中身が侑李と恋太郎ちゃんだと聞いて大きな声を出して驚く大倉さん

あたしは慌ててそれを制したが、時遅く

見張りの男が、あたしらが隠れている芦の茂みの方を見て顰めっ面をした



見張り「おいっ!誰でぃ!!

誰か居るのかっ!?出て来やがれぃっ!!」



此方の方を睨み付けながら、大声で喚く見張りの男


あたしは、ひそひそと声を潜めながら大倉さんに小言を言った



にの江(ほらご覧!気付かれちまったじゃないかぃ!)

大倉(め、面目ない…(汗))



「何の騒ぎだ?」



大倉さんが叱られた子犬みたいにしょぼくれている所で

あたしらが隠れている芦の茂みの逆側から


いかにも『親分』って感じの男と、ちょっとなよっとした感じの男が

眼光鋭い用心棒らしき男を連れてやって来た



その後ろには、手下らしい男二人が、大きな荷を積んだ手押し車を引いているのが見えた



にの江(雅吉、あれ…)

雅吉(ああ、奴らが人買いと子供屋に違げえねぇだろう)



雅吉と目配せしながらひそひそと話していると

見張りが、親分に畏まって挨拶した



見張り「あぁ、これはどうも、親分」

親分「挨拶なんざ良い

何を騒いでやがるんだと訊いてるんだ」

見張り「へぇ…いやそれがちょっと……

あっちの茂みの方から、怪しい話し声が聞こえたもんで…」



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