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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第5章 神隠し騒動編


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にの江「言ってないって…」



あたしが驚いて目を見開くと、翔吾さんはあたしの手をやんわりと外して

両手を行儀良く身体の前で組んで言った



翔吾「身重のお智ちゃんに、余計な心配をかける訳にはまいりませんから」

にの江「だけど……現に恋太郎ちゃんは居なくなって……」

翔吾「そこはちゃんと、お智ちゃんには恋太郎はにの江姉さんとこに遊びに行かせた事にしてありますから心配要りませんょ

なに、大丈夫です

絶対に恋太郎をこのあたしが連れ帰ってみせますから、お智ちゃんに余計な事を知らせる必要なんか、これっぽっちもありません」

にの江「……翔吾さん」

雅吉「あっはっはっはっはっ!

案外翔の字も男前なトコがあるじゃぁなぃか!

なぁ、にの江よ!!(笑)」


─べちんっ
翔吾「Σごふっ!!」(←雅吉に思い切り背中を叩かれた)

にの江「………まぁ、ね(笑)」

翔吾「げふげふげふ……な、何するんです、雅吉兄さぁん(泣)」(←…やっぱり、基本はヘタレてる?(笑))

雅吉「あっはっはっはっはっ!!悪ぃ悪ぃ!!(笑)」



雅吉は、一頻りカラカラと笑うと

「忠義のが独りでおっかながって泣いてるといけねぇから」

と言って、あたしと翔吾さんを連れて、例の屋形舟があると言う川原に向かった




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