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蜩(ヒグラシ)の宿─にの江大江戸人情帳─

第5章 神隠し騒動編


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雅吉「あの声は翔の字だな(苦笑)」

翔吾「雅吉兄さん居ないんですかいっ!!にぃさあぁああああーーーーんッ!!!!(号泣)」

雅吉「なんだぃなんだぃウルセェなぁ!

今行くからちっと静かにしな!」

翔吾「雅吉兄さぁああ〜〜んっ!!!(号泣)」



雅吉が返事をすると、翔吾さんの情けない泣き声が表から響いて来た

雅吉は全くウルセェ男だとかブツブツ言いながら、玄関へ向かった



雅吉「何でぃ翔吾、こんな時分に…」
翔吾「ここここ恋太郎は来ちゃいませんかっ!?(汗)」



雅吉が玄関の戸を開けると、翔吾さんが顔面蒼白になりながらそう言って雅吉に詰め寄った


雅吉は、翔吾さんにグイグイ押されながら首を傾げた



雅吉「は?恋太郎??」

翔吾「そうです恋太郎です!!あたしの命より大事なお智ちゃんの次に大事な(←笑)愛息子の恋太郎ですよッ!!!(号泣)」

にの江「恋太郎ちゃんがどうかしたのかぃ?」



余りにも尋常じゃない様子の翔吾さんに、何事かと思いあたしがそう訊ねると

翔吾さんは、雅吉を押し退けて家の中に雪崩れ込み叫んだ



翔吾「居なくなっちまったんですよッ!!!!(超絶号泣)」

雅吉・にの江「なんだって!?」



声を揃えて驚くあたしらの目の前で、ヨレヨレと泣き崩れると

翔吾さんはえぐえぐと涙に咽びながら言った



翔吾「あぁ……あたしがお智ちゃんの身体を心配する余りに、あんまり厳しく叱ったから……

……恋太郎…父さまが悪かったから、帰って来ておくれよぅ…(号泣)」


にの江「…………雅吉…………」

雅吉「………」



泣き崩れる翔吾さんを茫然と見てから、視線を雅吉に巡らせると

雅吉が黙ってゆっくりと頷いた



にの江「……じゃあ、もしかして……もう1人の上玉ってのは……」

雅吉「あぁ、恋太郎で間違いねぇだろう」




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