第5章 神隠し騒動編
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大倉「おや、こんな所に屋形船が…」
雅吉「恐らく、こいつで子供らを上方へ運んでいるんだろう」
大倉「Σじゃ、じゃあこれが幽霊舟の正体…」
雅吉「しっ!……忠義の、ちっと静かにしな…」
舟の方から人の気配がして、俺は忠義を黙らせると、芦の茂みに隠れた
その後ろに忠義も身を潜める
すると、屋形船の方から、如何にもカタギじゃありませんって風貌のイカツイ野郎二人が姿を表した
「おい、何か話し声がしなかったか?」
「どうかな…俺は聞こえなかったが」
「そうか……今日の荷はまだ届かねぇのか?」
「いや、さっき二人程頗る上玉を仕入れたって知らせがあったから、荷は届く筈だがょ
ただ、用心してもっと夜が更けてから船を出すって話しだぜ」
「そうか……んじゃあ、まだ船は出ねぇんだな」
「あぁ、一刻は出ねぇだろうな」
雅吉「…………一刻か…………腹ぁ減っちまうな」
俺は男たちが舟に戻るのを見届けてから、腹が減っちゃあ戦は出来ねぇと
夕餉を済ましてあると言う忠義をその場に残し
とりあえず一旦家に戻って、夕飯を食う事にした
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雅吉「………んで、飯を食いに戻ったら、可愛い恋女房がご覧の有り様だたってぇ訳だ」
雅吉は話し終わると真面目な顔をして、またあたしの頬を撫でた
にの江「………男たちが話してた、頗る上玉って………」
雅吉「ああ、恐らく侑李の事だろう
二人居るみてぇだから、侑李の他にもまだ…」
「雅吉にぃさあぁああああーーーーんッ!!!!!(号泣)」
雅吉のセリフを遮って
聞いたことがある雄叫びが玄関先から響き渡った
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