第5章 神隠し騒動編
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大倉「ここです、相葉さん!」
忠義に連れて行かれた川は、周りを背の高い芦に囲まれた川で
忠義が言うには、夜釣りには持って来いな川なんだそうだ
でも
ここ最近、幽霊舟が出ると言う噂が流れはじめてから、みんな気味悪がって近付かなくなり
中には近頃流行りの神隠しに遭った子供らの祟りだなんて言う輩までいて
おちおち夜釣りが楽しめないのだと言う
雅吉「ふぅ〜ん、この川を幽霊舟がねぇ」
大倉「ええ、それで夜になるってぇと、怪しげな舟がこう、ぬぅっと現れて
んで、その舟からそれはそれは悲しそうな子供のすすり泣く声が聞こえるとかって噂で…」
雅吉「実際、そいつを見たってやつの話は聞いたのかぃ?」
大倉「へ?………いや、それは………」
雅吉「ふぅ〜ん」
俺は腕組みをして川を眺めた
雅吉「この川ぁ、何処まで続いてんだろぅなぁ」
大倉「へ?………さぁ…?
多分、遡って行くとかなり遠くまで行くんじゃないですかね
それなりに大きな川ですから」
雅吉「そうかぃ…じゃあ、危ない品を運ぶのにゃあ、打って付けかも知れねぇなぁ」
大倉「………は?」
俺は腕組みを解くと、キョトンとしている忠義の方を向いた
雅吉「実はな、俺もちょっと妙な噂を耳にしてよ」
大倉「妙な噂ですか?」
雅吉「ああ」
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