第5章 神隠し騒動編
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にの江「……あぁ、いけない!肝心の味噌が切れてるじゃないのさ!
…さては雅吉の馬鹿が胡瓜かなんかに付けて食いやがったね……全く、あの馬鹿は…」
雅吉が出て行ってから早速夕餉の支度に取り掛かったものの、肝心の味噌が無い事に気付いたあたしは
こっそりそいつを食ってしまったであろう雅吉に文句を言いながら、懐を確認した
にの江「……まだ店が開いてりゃいいけど……」
あたしは懐に味噌分の銭があるのを確認すると、侑李を呼んだ
にの江「侑李、侑李や!ちょっとおいで」
侑李「はぁい、ははさま」
あたしが呼ぶと、侑李は直ぐに返事をして
居間から出てきてトコトコと小走りにあたしの傍へやってきた
にの江「侑李、母さまはちょいと買い物へ行くからね、お前も一緒に行くよ」
侑李「はぁい」
侑李は元気良く返事をしながら、キュッとあたしの手を握った
(……全く、可愛いったらないねぇ///)
何の迷いもなく可愛い小さな手であたしの手に掴まる侑李を見て
胸に、じわっと熱い想いが込み上げる
(……本当に、こんなに可愛くて良い子があたしの子になってくれるなんて……夢みたいだょ)
侑李「ははさま、どうかしたの?」
じっと黙って自分を見つめるあたしを見て、侑李が小首を傾げる
あたしは繋いだ手と逆の手で侑李の頭を撫でてやると、にっこりと笑ってみせた
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