第4章 禅寺人斬り騒動編
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翌日
ちょっとゆっくり目の朝飯を済ました後
あたしは、雅吉と一緒に町外れにあると言う、侑李ちゃんのお祖父さんの元へ
侑李ちゃんを引き渡す為に向かった
侑李ちゃんは、いくら血の繋がったお祖父さんと言えど、やはり知らない人の所に預けられるのが不安なのか
ずっと俯いて押し黙っていた
雅吉「ほぉ、結構な立派な屋敷じゃねぇか」
にの江「そうだねぇ」
侑李「……………」
侑李ちゃんの母親の実家の農家は
農家と呼ぶのが憚れる程に立派なお屋敷だった
あたしは緊張の所為なのか、泣きそうな顔をしている侑李ちゃんと手を繋いで屋敷の玄関の前に立った
にの江「ごめん下さい」
「はぁい、只今」
玄関先で声を掛けると、女中らしい若い娘さんが出迎えた
女中「はいぃ、何のご用で御座んしょ」
にの江「実は、この家の旦那様に、娘さんとお孫さんの事でお話があるのですが…」
女中「そぅですか、解りました
どうぞ、お上がりくだせぇ」
にの江「…どうも」
女中は、田舎の出なのか、なんだか訛った口調でそう言うと
何の迷いもなくあたしらを屋敷に招き入れた
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