第4章 禅寺人斬り騒動編
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にの江「……でも、大丈夫なのかねぇ?
もしも侑李ちゃんの母親を斬った連中に、侑李ちゃんが母親の実家に身を寄せている事が知れたら…」
雅吉「それなら心配要らねぇよ」
雅吉は、不安げに眉を寄せるあたしに、にかっと笑ってみせると言った
雅吉「今朝方翔の字に、お智ちゃんを連れてお智ちゃんの実家の下屋敷へ顔を出す様に言っておいたのょ
んで
調べが付いたトコで下屋敷へ寄ってお智ちゃんに事の次第を話して
ぽんちゃん(←笑)に、例の大名の正室のトコに書状を送ってもらう様に頼んどいたからょ」
にの江「書状?」
雅吉「あぁ。…侑李若丸とその母親の側室は、禅寺の前で行き倒れて死んじまったってぇ書状さ…あの、守り袋と一緒のな」
にの江「……………いつの間に守り袋を持ち出したんだぃ、お前さん」
ちゃんと大事に仕舞っておいた筈の守り袋を持ち出したと知って苦い顔をするあたしに
堅いこと言うなよと言って笑うと
雅吉は最後に
「正室さんは跡目争いの中で、唯一中立の立場を取っているみてぇだから、ちゃんと良いように取り計らってくれるさ」
と言ってから
縁側の子供らに声を掛けた
雅吉「おぉ〜ぃ、恋太郎に侑李!ちょっとこっちに来ねぇ!」
恋太郎「あぁ〜い♪」(←お菓子を貰ったので素直(笑))
侑李「はぁい!」(←元から素直)
あたしは、まるで犬や猫にするみたいに
駆け寄って来た子供らの頭をワシャワシャ撫でる雅吉を見ながら
本当に
そう言う事だけは勘が良くて抜け目がない男だょ、って
何とも複雑な気持ちになっていた
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